引き寄せるみたいにしての髪に顔を埋めたら、息を飲み込むみたいにして小さく悲鳴を上げた。
(そんなに驚かなくったって…)


「裕太?」


その声を無視して、そのまま柔らかい髪が流れる首筋に口付けたら今度は体を強張らせた。
なんだかいけないことしてるみたいで少し、ドキドキしてしまう。
そして小さく音を立ててそこに舌を這わせたら、は腰に回した俺の腕をギュッと掴んだ。


「ど したの?」
「どーもしない、が好きなだけ」
「どーもしないことないよ、なんか裕太、今日」


その先を邪魔するように後ろから柔らかい唇を指でなぞる。
驚いて一瞬口を噤んだの唇に指先が連れて行かれて、その感触に思わず欲情する。


明日のスケジュールでも告げているんだろう、ケータイのディスプレイが光りだしたけど そんなの後で考えよう。
そんなことより今、君にどうやって口付けてやろうか考えるほうが先だ。








たかが唇触れるだけなのに



準備なんかいらないでしょ






だけど、可愛くて少し照れ屋なキミのために。




(2006.12.10 Alice)