初夏の気温に上げられた体温でぬるくなったベットで目が覚める。 開け放した窓から吹き込む風に揺らされたカーテンに時折視界を遮られながら、 扇風機の無機質な音と、道路を走る車のエンジン音だけが遠くから聞こえる。 いつのまにやら足元に追いやられたタオルケットを探して手を伸ばしたら、そこにキミがいて。(思わず小さく微笑んだ)



寝癖のせいで少しぐちゃぐちゃになった髪に少しだけ赤くなった頬を引き連れて、俺のジャージにすがるみたいに伸びてる2本の腕。 いつの間にか俺の枕に頭を乗せて寝ている姿がたまらなく可愛くて、軟らかそうな髪に手を伸ばした。 表情を遮るそれを耳にかけてやれば、幸せそうな寝顔がお目見えする。 そこで何気なくベットサイドの時計を確認すれば時間はもう昼過ぎで、 だけど目の前で気持ちよさそうに寝息を立てる彼女起こすのはなんだか申し訳なくって、気付かれない様にと そっと髪を撫でる。 扇風機に揺らされる髪からは、自分が使っているシャンプーの匂いがして、なんでもないことなのに、無性に幸せだなあ、なんて思った

「ん・・・」
「あ、ゴメン」

撫でる手の平が彼女の髪の毛を何度かすり抜けたところで、が小さく身じろぎをした。 寝ぼけた子供がするみたいに、もっと近くに寄り添ってきて胸元をギュッと掴む。 俺はただそんな小さな背中を右手で捕まえて、あやすみたいに擦る。 太輔、って小さく呟いたかと思うとまた小さな寝息。
(相変わらず寝覚めが悪いというか・・・)

「もう昼すぎだってば」

丸くなった背中を擦りながら小さく揺らすと、深呼吸するみたいに息をするのが聞こえて  それでも、握られた両手と寄せられた頬は相変わらずそのままなことに思わず苦笑いがもれる。

「ねー、起きて」
「…んー…、あと、ちょっと、だけ」
「あとちょっと寝たら日曜日終わっちゃうからダーメ。」
「そうじゃなくって…、あとちょっとだけ こうさせて」

そう言ったかと思うと握られた両手は、俺の背中にゆるゆると回される。 チラリと覗きみたの表情は、やっぱり眠たそうな表情。 あちこちじわじわになってしまったベットカバーの布ずれの音立てて身じろぎをすると、またシャンプーの匂い。

「太輔いい匂いする・・・」
「うん、も同じにおいしてる」

おでこに控えめの目覚めのキス。 くすぐったそうに小さく笑ってはようやく気だるげな体をうんと精一杯背伸びして、それもそっか、なんて笑いながら目が覚めた顔をして見せた。 ただでさえ距離が近いのに、もうホントにゼロに近いんじゃないかってくらいピッタリ体を寄せて、そんな彼女の耳に囁く

「好き」

私も、とゆっくり返事を返したの頬は少しだけピンク色。ねえ、それがけして夏の温度のせいだけじゃないってこと、幸せだって思っていい?





かわいいほほ


(2006.06.20 Alice)